イスラム過激主義に対するフランスの答え

職業柄、中東からの絶え間ないニュースの中に身を置いているが、28日、「これは?」と注目した2つのニュースがあった。ひとつは、「仏内相、モスク落成式でイスラミストは追放すると宣言」というものであり、もうひとつは「預言者侮辱の映画製作者逮捕」のニュースであった。

1.「ヴァル内相、大モスク落成式で過激なイスラム主義者は追放すると演説」

ストラスブールにフランス最大のモスクが竣工した。27日、その落成式があり来賓のヴァル内相が歯に衣着せぬ演説をしたのだ。こういう発言をできる政治家が日本にいるだろうか。報道から、重要部分を2箇所だけ抜き取る。

「イスラムはフランスに居場所を有する。フランスのイスラムは、フランスの一部であるからだ。」

「憎しみ合うことを扇動する者、蒙昧主義の徒、原理主義者、我々の価値観と制度を破壊する者、女性の権利を否定する者、そういう人々の居場所はフランスにはない。我が国にいながら、法律を破り、社会の根源に敵対する者たちが国内に留まる必要はない。イスラム教徒であると主張しつつ公共の秩序に重大な脅威を与え、国の法律と価値を尊重しない者共は容赦なく追放する。」

モスクの落成という祝典に臨んで、いくら「過激派は…」と断ってもイスラム教徒は追放するぞという強い言葉を堂々と発することができるというのはどういうことか?それも、平時ではない。預言者ムハンマドを侮辱した米映画問題で世界中のイスラム教徒の感情に火がついているタイミングであり、その上に仏風刺漫画誌の掲載した預言者風刺画の問題が追い討ちをかけていた。

その秘密、というよりきちんとした理由はフランスの世俗主義にある。日本のような消極的政教分離主義では、モスクに内相が招かれる、ということ自体が禁止され得ることであるが、フランスやトルコのような積極的政教分離(≦世俗主義)においては、世俗的価値を優先させ、日常生活における「宗教的行動」をしっかりと禁止することができるのである。

仏週刊誌の問題では、在外公館に最大の警備警戒措置を尽くしても、表現の自由擁護の立場を貫いた。イスラム諸国では一部騒ぎとなったが、フランス国内では目立った抗議行動は起きなかった。その自信が内相の言葉の奥に込められていたに違いない。
Vive la France!

2.「預言者侮辱の映画製作者逮捕」

近年稀にみる「傑作」をYouTubeに流し、世界を大混乱に陥れた男が逮捕された。しかし、それは映画出演者を騙し、稚拙な方法で吹き替えをして醜悪なイスラム冒涜映像を作った罪ではなかった。元来、人を騙して財産を奪う詐欺罪で刑を受けている人物だったから、保護観察違反で再収監されたのである。

男は逮捕されたが、この男の作った作品は今もYoutube上にある。先ほど覗いてみたら480万view以上を記録していた。

ほとんど精神異常に近い、ふざけた犯罪であった。しかし、それがもたらした重大な結果に責任を有するのは誰か?「アメリカが悪い」、「イスラエルが悪い」というイスラム過激主義政権の主張は、われわれ異教徒だけでなく、真のイスラム教徒も受け入れることはできないだろう。(J)